メッキ

亜鉛メッキ

代表的な防錆めっきとして広範囲な分野で活用されています。鉄の防食にきわめて効果的であることに加え、めっき浴及びクロメート処理の進歩によって外観性能も向上し、装飾的用途での評価も高まっています。

一般に亜鉛めっきは、めっきしたままの状態では比較的変色、腐食しやすいため、クロメート処理を施したものが利用されています。クロメート処理にはCr6+を使用する6価クロメートが広く利用されていましたが、近年、グリーン調達の普及に伴い、Cr6+を使用しない光沢、有色、黒色の3価クロメートが実用化されています。

亜鉛めっきの特徴

① 機械加工された比較的複雑な形状に対しても、ほぼ均一な厚さでめっきすることができ、量産加工も容易です。

② 中性の使用環境では亜鉛が不動態化するために良好な耐食性を発揮します。とくにpH8~12の領域における腐食進行はほとんどなく、大気中の腐食速度は鉄の約1/100ときわめて遅くなっています。

③ 鉄に対する犠牲的防食作用が強いために、めっき面に傷がついて鉄素地が一部露出していても、防錆効果を発揮します。

④ 後処理としてのクロメート皮膜が亜鉛の白錆び発生を長期間防ぐため、①~③との相乗効果により、他の防錆処理にくらべてその防錆効果ははるかに優れたものとなります。

⑤ 他のめっき加工にくらべ、めっきコストは安価になります。

⑥ めっきの二次加工性に優れています。

 

ただ、留意すべきことは、大気汚染の比較的少ない田園地帯、住宅地帯に関してその優秀な防錆力が発揮されるということです。汚染の甚だしい工業地帯においては、とくに5月~10月の高湿度時期ほど亜鉛めっきの腐食は進行するため、際立った汚染の甚だしい工業地帯で使用される亜鉛めっきの場合は、膜厚をより厚くすることに加え、有色クロメートあるいは黒色クロメート(パワーコート)を施すことをお勧めします。



溶融亜鉛メッキ

溶融亜鉛メッキの特徴として、優れた防蝕性が挙げられます。これは(1)亜鉛メッキ層そのものが厚いこと。(2)亜鉛メッキの表面が空中の酸素と統合し、酸化亜鉛という一種の防護皮膜が形成されること。(3)自己犠牲防蝕機能があること。以上3つの要因により、鉄製品を苛酷な自然条件のもと数十年とう長い期間にわたって、鉄が錆(酸化)びないよう保護しています。

 

メッキの主な用途

① 土 木 関 係………ガードレール・フェンス・道路標識・橋染・グレーチング・アンカーボルト・公園・造園施設物

② 建 築 関 係………仮設資材(足場、パイプサポート)手摺・サッシ・ファスナー・階段・防音盤・建築金物・キャットウォーク・安全ネット・重量鉄骨加工材

③ 電力・通信関係………鉄塔・鉄柱・立金物・電力機器用架台・腕金・ケーブルラック

④ 鉄道・運輸関係………防音壁支柱・送電塔関連

⑤ そ の 他 ………温室等農業用ハウス・ボイラー・ソーラー架台・高層(立体)駐車場・石油・ガスパイプライン関連

 

JIS H 8641 溶融亜鉛メッキ規格

種類 記号 付着量 g/m2 硫酸銅 試験回数 適用例(参考)

2種

HDZ 35 350以上 - 厚さ1mm以上2mm以下の鋼材、鋼製品、径12mm以上のボルト、ナット及び厚さ2.3mmを超える座金類

HDZ 40 400以上 - 厚さ2mmを超え3mm以下の鋼材、鋼製品及び鋳鍛造品類

HDZ 45 450以上 - 厚さ3mmを超え5mm以下の鋼材、鋼製品及び鋳鍛造品類

HDZ 50 500以上 - 厚さ5mmを超える鋼材、鋼製品及び鋳鍛造品類 HDZ 55 550以上 - 過酷な腐食環境下で使用させる鋼材、鋼製品および鋳鍛造品類

 

<備考>

1. HDZ 55のメッキを要求されるものは、素地の厚さ6mm以上であることが望ましい。6mm未満の場合は事前に当事業者間協議すること。

2. 表中適用例の欄で示す厚さおよび径は、呼称寸法による。

3. 過酷な腐食環境は、海塩粒子濃度の高い海岸、凍結防止剤の散布される地域などをいう。

 

JIS H 9124 溶融亜鉛メッキ作業標準

JIS H 0401 溶融亜鉛メッキ試験方法

 

その他、溶融亜鉛メッキ製品の規格として、次のような規格があります。

・JIS H 2107 亜鉛地金

・JIS G 3302 亜鉛鉄板

・JIS G 3442 水道用亜鉛メッキ鋼管

・JIS G 3532 鉄線 ・JIS G 3534 亜鉛メッキ鉄より線

・JIS G 3537 亜鉛メッキ鋼より線

 

メッキ窯サイズ

弊社のメッキ窯は最大11メートルまでの大きな商品もメッキが可能です。下図はメッキ窯の詳細になります。

 




1.優れた密着性


溶融亜鉛メッキは、他の塗装と違い鉄素地と亜鉛の合金化反応により密着しておりますので、過激な衝撃や摩擦以外に剥離することはありません。


2.剥離しにくい


溶融亜鉛メッキのメッキ皮膜は、鉄と亜鉛の合金層ができるため、鉄素地との密着性が良好です。 一般的な取り扱い方法では、衝撃・摩擦などによって剥離することはありません。


3.経済性に富む


長期間にわたって防食効果がありますので、(環境により地域差があります)補足的な防食手段はほとんど必要ありません。理論的には、表面の亜鉛メッキ層が電気化学作用により完全に消耗されつくすまで鉄鋼製品を錆から守りますので、長期の防食を目的とする場合、他の防錆法と比較して最も経済的な方法です。


4.様々なサイズでメッキが可能。


メッキ槽に浸漬することが可能な鉄製品は、すべてメッキが可能。 弊社のメッキ槽は様々なサイズに対応でき、最大11メートルに及ぶ大型製品までメッキ加工できます。


5.どんな形でもメッキが可能

手の届かない部分までメッキが可能なのが、溶融亜鉛の利点です たとえば、細長い管のようなものであったり、中空体などであっても溶けた状態の亜鉛が出入りすることができるのであれば、均一にメッキをすることが可能なのです。

 




カチオン電着塗装

導電性のある水溶性塗料を入れたタンクに被塗装物を浸漬し、被塗物を陰極(-)、電着槽内の隔膜室内に設置した極板を陽極(+)として、この間に直流電流を流すことで被塗物側に塗膜を析出された後、硬化させることにより、優れた塗膜を得る塗装システムです。 カチオン電着塗装は、上塗り塗装の下地処理や、亜鉛鍍金の上塗りとして広く使用されています。



主な用途

自動車部品・農機具・電気機器・産業機械・機器・建材 etc

1.被塗物の構造に関係なく塗膜を一定の厚さに保つことができる。


2.防錆性の優れた塗膜が得られる。


3.つきまわりが優れているので、塗り残しがない。


4.塗料損失が少ない。


5.VOCをほとんど使用しないため、いわば環境適応型塗装法である。


6.塗膜のタレ・ワキ・溶け落ちがない。


7.耐蝕性に優れている。


8.エポキシ樹脂。環境対策のため、鉛フリーである。



りん酸亜鉛化成被膜処理

一般に鉄鋼製品は、その表面保護や耐蝕性また美観などの観点から、亜鉛メッキや塗装を施すのが通例であります。 そして近年、その表面処理加工費の安さ、定期的に行わなければならない補修工事をしなくてもすむメンテナンスフリーなどの経済性、その耐用年数が非常に長い耐蝕性などの点から、屋外設置鉄鋼製品については特に溶融亜鉛メッキを施す場合が多くなりつつあります。そこで、さらに、溶融亜鉛メッキを行った製品の美的価値を高めるために新たに注目され見直されつつあるのが、このりん酸亜鉛化成皮膜処理であります。



りん酸亜鉛化成皮膜処理とは、亜鉛メッキされた鉄鋼製品の表面に、灰色で落ち着きのある色調の無光沢な結晶質皮膜を析出・形成させる処理であります。


溶融亜鉛メッキ製品特有のキラキラとした輝きや、金属質感が、周囲・環境とあまり調和せず、違和感を感じるなどの理由から、りん酸亜鉛化成皮膜独特の落ち着いた、無光沢なグレー色で、結晶質的な高級感が好まれ、各方面、建築構造物等に採用されるように至っております。